わさびは、水温の低いきれいな水が豊富な場所で栽培されます。猪之頭では、豊富な湧水を活用し、大正7〜8(1918〜1919)年頃から小規模でわさび田が造成され始めました。昭和33年(1958年)、わさびの栽培が盛んだった伊豆に台風が直撃し、わさび田が大打撃を受けて以来、猪之頭のわさび田が注目されるようになりました。当初は、伊豆からの転居者などがわさび田を造成していましたが、後に地元住民も造成を始め、急速に広まっていきました。しかし、猪之頭は傾斜が南向きであるため、夏の日差しが強すぎることと、養殖している鱒のフンなどがわさび栽培の難点となり、現在は衰退傾向にあります。
猪之頭のわさびは、ミネラルを多く含んだ富士山の豊富な湧水(年間を通じて11〜14度)で栽培されるため、すっきりとした辛さが特徴。だから子どもにも食べやすく、地域の特産である虹鱒(二ジマス)と一緒に食べることが好まれています。